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限界旅行で海外撮り鉄してるオタクの備忘録

フッ軽的に福岡と韓国に行った話 1:三井化学専用線

 2020年2月。

齢25にして人生における最大の幸福と絶望をわずか3週間の間に経験し、普段の超絶ポジティブ楽観主義的な生き方が一時的にできなくなった私。

原点に立ち返って趣味に全力に生きていたあくる日の自分を思い出すべく、コロナウイルスの感染拡大が全世界的に話題となっている中、3連休を使って久しぶりの限界海外鉄オタ旅行に繰り出したのでした。

 

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前日、天神で友達とバカ飲みしていたら、予約していたホテルのある西鉄久留米までの終電を普通に逃してました。筑紫行きとかいう本物の最終には乗れたものの、全然地理がわからないので、降ろされた筑紫で地図を見て久留米までの距離に絶望したのでした。

結局タクシーを捕まえて久留米まで約40分。6590円という大変悲しい出費ではあったものの、運転手さんと偏差値3ぐらいの本当に救いようのない話を延々としていたので、今となってはいい思い出だ、と後々美化できそうな感じでした。笑

 

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1時過ぎにホテルについて、翌朝7時過ぎにはもう出発。前夜に降り立てなかった駅舎を初めてゆっくりと眺められました。建ってから40~50年くらい経過した感じの古い駅舎が大変良い。日曜朝なので一通りも皆無に近い状態。

 

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大牟田の1つ手前の新栄町という駅で降りたら、駅前にとんでもなく寂れた商店街が残ってました。シャッター街、ではなくもうシャッターを下ろした建物が解体され消滅し、アーケードだけが残るガチの寂れ方をした商店街は、本当に人通りが皆無でかなり不気味です。

アーケードもあちこちに穴が開き、もはや雨除けとしての機能を果たしていません。ここまで廃墟化した商店街は人生で初めて見ました。今度時間があったら友達なりを連れてきてここでポートレート撮影でもしたいね。

 

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新栄町駅からそれほど歩かない場所を、三井化学の工場からJR鹿児島本線までを結ぶ通称「三井化学専用線」が走っています。かつて大牟田の街を支えた三池炭鉱の周囲を走っていた「炭鉱電車」の最後の生き残りとなる路線で、現在も昭和初期に製造された大変渋い姿形の凸型電機が2両、そして珍しいバッテリー凸型電機3両が令和の世になっても現役バリバリで活躍しています。

わざわざ久留米のホテルを取って、久留米までタクシーに乗ってでも着こうとしたのは、朝早くに出てこれを撮影するため。金を手にしたオタクの行動力は大変恐ろしいのです。

 

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歩道橋の上で待っていると、どこからともなく警笛の音が聞こえてきて、踏切が鳴動し始めました。ここの踏切は下の写真の左側にある小屋で係員が手動で操作しています。安全性の観点から数を減らしている手動踏切ですが、この路線は本数もそこまで多くはないため手動で十分なのかもしれません。

大きな吊りかけモーターの走行音と共に現れた凸型電機の姿に、思わず見とれてしまい単に鬼連写し続けることしかできませんでした。

 

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工場から貨車を引っ張ってきた電機は、この後JR鹿児島線との貨物受け渡しを行う仮屋川操車場へゆっくりと進んでいきます。

 

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上で貨物を牽いて通過していった10分ほど後になり、また踏切が鳴動し始めます。今度も警笛を鳴らしながら電機が通過するのですが、貨物を置いてきたので軽そうな単機の姿に変わっていました。

それにしてもエモい。こんな古豪が未だに現役最前線で活躍してるなんて。

 

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これが例の小屋。木製?の踏切の表示にいかにも古そうなレバー付の操作盤という組み合わせが哀愁を漂わせています。列車に限らず踏切の設備もまた時代を誤ったような感じがあり、非常にノスタルジックな感があります。

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この撮影からわずか1週間後、この専用線が2020/5をもって廃線になると報じられました。炭鉱電車の最後の生き残りとして細々と活躍してきた路線、電機が全て消え失せてしまうこととなり、また古の情景を残す貴重な路線が日本から消えてしまうこととなります。

廃線間際のオタク大集結カオスワールドが展開される前にじっくり撮れたと考えると、あのタクシー代も決して無駄ではなかったと言えるでしょう。自分の目にこんな素晴らしい風景を焼き付けられて本当に良かった。

 

この後、近くのバス停から出国地・福岡空港へと向かいました。大牟田での滞在時間はおよそ40分程度でしたが、濃密な時間だったのは間違いないでしょう。

 

つづく